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林あまり

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もともと詩や短歌・俳句などなど(あと国語の教科書に載っていた漢詩も)大好きで、何回か読むとすぐ暗唱できちゃうくらいテストにも困りませんでした♪

特に短歌は古典も含めとても興味を持っていて、高校生の頃からいろいろな歌人の歌集を借りたり、購入したりしてはよく読んでいたんですよね~☆

一時は鑑賞に飽き足らず、自分でもつくってみようと詠んでたこともありましたし…(照)。

ここのところちょっとお歌への情熱が落ちてしまっていたのですが、ブログ仲間さんに影響されてまた手元にある歌集を開いてみました。

“この人のお歌はすごく好きだわ~♪”と数年前に絶賛していた林あまりさんの歌集です。

林あまりさんと言えば『夜桜お七』の作詞家であり、ペンネームの由来が本名の『林真理子』では先達に偉大なる女流作家がいたため『あまり』と命名した…とのエピソードが有名な歌人です(笑)。

久しぶりにあまりさんのお歌に触れて「あぁ、やっぱりこの人のお歌はこころに落ちる」と思いました。

例えば…

       “日程を決めない限りかなわない大人の遊びはどれひとつとして”

       “月は好き手ざわりなんてないのだし距離を保った友人のよう”

          なんてお歌に出会うと「そうそう♪」と思わず膝をたたきたくなっちゃう(笑)。

あまりさんは恋の(特に性愛を詠った)お歌が特徴的なのですが

        “五分だけ会いに行こう抱きしめて髪をくしゅくしゅ撫でてもらえる”

          と可愛らしい少女のような気持ちを詠ったものもあり、

        “恋人とつながっているそれなのにどこにも何も感じない焦り”

          と非常に冷静に冷めた視線で『恋する自分』を見つめているお歌もあります。

そこに恋愛に夢中になって吾を忘れてしまえない哀しさが漂っていて、思わず共感したくなっちゃうんだなぁ(笑)。

強い情念は感じられるのにそれは『相手との関係性』というオープンなものには向けられず、自分のこころの中を金魚蜂を覗き込むようにただひたすらとじっと見つめているような暗さがなんとも言えないのです。

あけっぴろげに性の歌を詠いながらも、こころを委ねることはできない。

いくら恋しい人でも完全に自分のこころを明け渡すことはしたくない。

それでもひとりでは生きていけないからまた人を好きになる。

そんな自分を嘆いているのか、戸惑っているのか、あがいているのか、それとももうこれこそが自分なのだと諦めているのか…矛盾や澱をいっぱい抱えているのにカサカサと乾いた感覚でいるところが好きなんですよねぇ。

これが同じ恋愛歌人の俵万智さんの歌だと

        “「今いちばん行きたいところを言ってごらん」「行きたいところはあなたのところ」”

          となって松田聖子の『赤いスイトピー』を彷彿とさせ、

        “何層もあなたの愛に包まれてアップルパイのリンゴになろう”

          とさらに重ねて無邪気に恋に向かっていく姿が見えるのです。

「この人はいくつになっても恋に生きる女なんだろうなぁ」と思わせるところが鼻について…ひねくれ者なわたしとしては妬ましくもあり反発したくもなるわけです(笑)。

せっかくなので、さらにおふたりの恋の歌をもう少し。

         ほんのりと好きな男にほんのりと優しく返されそれだけのこと(林あまり)

         一冊の本をあなたと眺めている少女の頃にしたかったこと(林あまり)

         言葉とはもどかしいもの親切と愛の違いの違いがほしい(俵万智)

         心にはいくつもの部屋好きだから言えないことと言わないことと(俵万智)

あまりさんが“それだけのこと”と詠んだお歌は自身に言い聞かせているようでもあり、冷めた気持ちの実感なのかもしれないけれど、どちらにしても「そうだよねぇ…」とわたしに思わせ、やさしい気持ちにさせてくれる。

反対に万智さんのお歌は“違いがほしい”と思えるほど、その愛にまっすぐ向かっていく素直さが嫌味に思えてくる(笑)。

だからやっぱり“あまりさんのお歌が好きだ~!!”という結論になるのですけれど♪

最後に同じ『桜』を詠ったあまりさんと万智さんのお歌を…

         わたしなど与えつくしてしまえたらどんなに楽か散りやまぬ桜(林あまり)

         散るという飛翔のかたち花びらはふと微笑んで枝を離れる(俵万智)

ふたりの歌人の感性の違いが如実に表れていておもしろいですよねぇ。

わたしなど与えつくしてしまえたら…か。 

強固に自分自身を囲っているわたしとしては自分を手放すって憧れる…けれど、やっぱりあまりさんが詠うようにその状況に陥っても実際に『吾を忘れる』なんてことにはならなくて、“そうなれたらどんなに楽か”って自嘲しながら言うような気がします(笑)。
by wasurenasumire | 2009-06-26 22:54 | books


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by wasurenasumire

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